【連載】変貌する化粧品業界⑤男性も化粧時代、企業、大学等で男性化粧品セミナー開催

2018.10.26

特集

編集部

最近の化粧品トレンドとして「男性が化粧する時代になった」ことが挙げられる。化粧品各社は「男性が洗顔料や化粧水を使って肌を整えるのはもはや常識」と異口同音に言う。
ここへきて化粧品各社は「男性化粧品市場を発掘し収益につなげよう」とばかり、企業や大学で男性化粧品セミナーを開催するなど掘り起こしに躍起の体。

現在、男性化粧品市場は、メンズスカルプケアが通販ルートを中心に伸長したことや男性全般のケア意識の高まりが市場の押し上げ材料となって市場が拡大。2017年の男性のフェイスケア用化粧品の国内市場は、2016年比3%増の96億円に達した。4年間で2割程度、増加した。また、経済産業省は、2018年のメンズコスメの売上見通しを約1175億円(前年比1.9%増)と公表、需要が拡大傾向にあるとしている。

現在、国内男性化粧品のトップの座にある株式会社マンダム(大阪府大阪市)は、1978年に市場投入した主力商品「ギャツビー」が、最も身近なスタンダード男性化粧品として国内をはじめインドネシア、マレーシア、タイなどで8割の男性に愛用されるなど、マンダムのコアブランドとしてグループの成長を牽引している。
同社の2018年3月期の売上高は、813億8600万円。地域別売り上げは、日本が477億3900万円、構成比65.59%を占める。また、現地法人「マンダムインドネシア」が事業担当しているインドネシア等での売上高(2018年3月期)は、196億1600万円となっている。

こうした中、株式会社資生堂(東京都中央区)や株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(東京都中央区)、株式会社カネボウ化粧品(東京都中央区)、大塚製薬株式会社(東京都千代田区)などが男性化粧品市場に参入、激しい争奪戦を展開している。
ポーラ・オルビスホールディングスは、2018年9月に子会社の株式会社ACRO(東京都品川区)で、男性用化粧品ブランド「ファイブイズム・バイ・スリー」の販売を始めた。
カネボウ化粧品は、2015年2月に男性スキンケアブランド「リサージメン」を市場に投入し、男性化粧品分野でも再挑戦している。
大塚製薬は、2008年にミドルエイジ層向け男性用化粧品「ウル・オス」を市場に投入、男性化粧品市場に一石を投じた。

男性化粧品の主力ブランド「ウーノ」「シセイドウメン」を市場に投入した資生堂は、2018年4月から企業や大学の男性向けに美容に効果的なスキンケアの方法を指南する研修サービス(写真)を始めた。
ビジネスシーンでのスキンケアの重要性を啓発するとともに、洗顔料や美容液の使い方などを教える。営業や接客に携わる男性社員の身だしなみに配慮する企業が増加していることに対応し、男性用化粧品の拡販につなげる狙い。

ともあれ、化粧品メーカーにとってこれまで男性化粧品は、未開拓の分野だっただけに
「男性も化粧する時代に」をスローガンに残された最大のフロンティアに賭ける期待は大きい。

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