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水溶性食物繊維に肝細胞がん誘発の可能性

水溶性食物繊維のイヌリンを与えたマウスで肝細胞癌が誘発されたという研究結果が10月18日、「Cell」オンラインに掲載された。

野菜や果物、海藻や麦などに多く含まれる水溶性食物繊維は、摂取されると腸内細菌によって発酵が起こり、ビフィズス菌などのいわゆる善玉菌が増えるという整腸作用が期待される。また、腸内発酵により腸内を弱酸性に保ち有害な菌の増殖を防いだり、大腸の蠕動運動を促進したりする短鎖脂肪酸(SCFA)が生成されることで、メタボリックシンドロームの改善効果も考えられている。しかし今回、腸内細菌のバランスを失わせたマウスを使った実験で、水溶性繊維イヌリンを混ぜたエサを与えたところ、肝細胞がんが誘発されたことが確認された。一方で、無菌または抗生薬処理されたマウスではがん誘発は確認されなかった。また、イヌリンを多く含んだ高脂肪食を与えた野生型マウスでは、dysbiosis(腸内細菌のバランス異常)と肝細胞がんの両方が誘発されていた。

研究者らは、健康的利益の多い腸内発酵を促す作用のある食物繊維の摂取ではあるが、肝細胞がんの誘発というリスクの可能性があるため、十分な注意が必要と述べている。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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