【連載】大手化粧品会社の研究(62)アロインス化粧品の会社研究 ~東京、大阪以外の営業担当者に直行直帰を導入~(下)

2018.12.4

特集

編集部

アロインス化粧品は、代理店、量販店本部のバイヤー等のルート営業を担当する東京、大阪以外の営業担当者に対して直行直帰を導入している。同社が北海道などのルート営業担当者に直行直帰を導入したのは、自社ブランド化粧品のPR促進や代理店の取り扱い数量の拡大等に繋げることで、収益の向上を図るのが狙い。
東京、大阪を除く地方の支店に配属している営業担当者の自宅からの直行直帰は、全社員が集まって行なう会議以外は、オフィスへの出社義務はない。また、直行直帰で営業先を訪問するため、自由なスケジューリングが可能。例えば、年間売上目標の月毎の割り振りは、営業担当者自身で決める。
一方、全営業社員のスケジュールは、社内システムで管理されているため、必要に応じて上司・同僚と連絡を取ることが可能。

同社は、営業部門の大まかな年間スケジュールと役割を決めて実践している。3月から5月は、新製品のシェアを獲得するための営業活動を展開する。
6月から8月は、秋冬にリリースする新製品のPR活動を行う。9月~11月は主力化粧品「アロインス オーデクリームS」のキャンペーン期間。年間を通じて最も忙しい時期。 12月~2月は、春・夏にリリースする新製品のPR活動などとなっている。
同社がさらに収益を上げるには、代理店との深い関係を構築しながら扱量の拡大が欠かせない。

一般的に直行直帰のメリットは、一件でも多くクライアントを回れ、現場での仕事の時間を長く確保できる。また、自分でスケジュール管理をして動けるため時間が有効活用できる。さらに、一日の仕事の流れに時間的な縛りがないため、自分が主体的になって仕事に取り組めてモチベーションが上がる。
半面、デメリットもある。直行直帰で現場に出ている場合、結果しか評価されないため、仕事のプロセスが不明瞭。また、会社内から仕事をしていることを見られないため、自己管理能力がもとめられる。

ともあれ、直行直帰は、化粧品業界で本格的に議論されたことがなく実態は不明確だ。ただし、同社をモデルとした直行直帰導入は、営業の効率化を図る新たな働き方改革の一つとして注目される。

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