〇解説記事③マイクロプラスチックに揺れる化粧品容器 ~化粧品各社、マイクロプラスチック代替への取り組みに力~(Ⅳ)
2019.09.10
編集部
マイクロプラスチックやマイクロビーズは、5mm以下の固形プラスチック粒子で、角質除去または洗浄の目的で使われる。日本の化粧品各社は、マイクロプラスチックの自主規制と代替に取り組む動きを見せている。
各社のマイクロプラスチック代替への取り組み等を見ると、株式会社マンダム(大阪府大阪市)は、洗顔料に使用しているマイクロプラスチックを代替する方針を決定し、既に代替品として土にかえる生分解性の改良スクラブを使用した商品を販売している。
花王株式会社(東京都中央区)は、ごく一部の洗い流すプレステージ化粧品や海外で販売している全身洗浄料の一部の洗い流す化粧品及び歯磨きなどに角質除去や洗浄の目的でスクラブ剤を配合していた。そのスクラブ剤として使用されていたもののうち、マイクロプラスチックを使用していた商品をすべて代替素材へ切り替えた。また、国内で販売している「ビオレ」「メンズビオレ」の洗顔料、全身洗浄料に使用していたスクラブ剤は、天然由来の成分(セルロース、コーンスターチ)に切り替えるなど脱マイクロビー ズを完了している。
同社は、CO2排出量を削減する詰め替え用パックも開発した。開発にあたって薄肉化によるプラスチック量削減策として0.1~0..2mm 程度の複合フィルムを使用。また、植物由来ポリエチレンのグレードについて評価を行い,これら2つの技術の組み合わせにより,従来品に比べCO2排出量を約12 % 削減できる。
株式会社カネボウ化粧品(東京都中央区)は、ごく一部の洗い流すタイプへの化粧品にマイクロプラスチックビーズに該当する成分を使用していたが、現在ではすべて代替材料に置き換えた。
株式会社資生堂(東京都中央区)は、化学メーカーのカネカとの間で2019年4月、プラスチックによる海洋汚染問題への解決を目的に株式会社カネカ(大阪府大阪市)製の生分解性ポリマー「PHBH」を用いた化粧品用容器を共同開発すること合意した。
海中に漂うマイクロプラスチックが生態系や人々の健康へ影響を与える懸念が高まっている中で資生堂は、PHBHが海水中で生分解する点を評価し、共同開発することで合意した。
PHBHは、カネカが開発した100%植物由来のバイオポリマーで、幅広い環境下で優れた生分解性を有するのが特徴。PHBHは、海水中で生分解する認証「OK Biodegradable MARINE」を取得(2017年9月)しており、同素材を使った化粧品容器は、海洋汚染低減に貢献すると期待が大きい。
「OK Biodegradable MARINE」は、海水中(30℃)で、生分解度が6ヵ月以内に90%以上になることを基準にベルギーに本部を置く、国際的な認証機関「VIncotte」が認証している。