【連載】この中小化粧品会社に注目㊶アンズコーポレーション(上)~三井物産ケミカルが出資・業務提携~

2021.02.25

特集

編集部

三井物産ケミカル株式会社(東京都千代田区)は、ロート製薬株式会社(大阪府大阪市)の関係会社(持ち分法適用会社)で中堅化粧品会社の株式会社アンズコーポレーション(大阪府大阪市)に対して出資(2020年10月)を行い、経営参画した。三井物産ケミカルとしては、初の事業投資。出資額や出資比率は、非開示。

アンズコーポレーションは、1960年7月に株式会社日本ジョセフィン社として訪問販売事業を始めたのが始まり。以降、OEⅯ事業(original equipment manufacturing=相手先ブランドによる生産)、店頭販売事業を展開後の2006年1月に現在の社名に変更した。2018年5月には、OEⅯ事業をODⅯ(Original Design Manufacturing=相手先ブランドによる設計・生産)事業に切り替えて強化を図った。
現在では、同社のODⅯ事業は、売上高(2019年度73憶円)の約8割を占める中核事業に伸長している。
同社は、引き続き、オリジナル化粧品、ODⅯ事業をさらに拡大し成長させることと合わせ、アジア、北米、ブラジル等に幅広く進出し、グローバル化に拍車をかける方針で商社などとの提携相手を物色していた。

一方、三井物産ケミカルは、2017年10月に新規領域開発本部を立ち上げ、石油化学の市況に左右されない領域で新規ビジネスの創出を模索した。
新規事業領域では、化粧品、健康食品、医薬医療領域の融合が進み、それらを包含するウェルネス(健康を身体の側面だけでなくより広義に総合的に捉えた概念)市場は拡大していると判断。また、化粧品のバリューチェ―ン(自社や競合他社の事業を機能別に分類し、どの工程においてどのくらいの量の付加価値が生まれているかを分析すること)についての評価・分析をおこなった。
その結果「化粧品事業を支えているのはOEMやODMメーカーであり、日本の化粧品は、世界から評価が高く付加価値がある」などとして化粧品分野参入をきめた。

今度の出資・業務提携に伴い両社は、三井物産グループが持つ国内外の様々なネットワークや知見及びアンズ社の処方技術等を融合して化粧品分野参入を計画しているODⅯ顧客の獲得・拡大を図る。同時に、海外の化粧品・ビューティ&パーソナルケア市場において新しい価値の提供に挑みウェルネス領域での事業拡大とプレゼンス強化に取り組んでいく方針。

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