幹細胞コスメの最近のトレンドロート製薬の幹細胞研究 ~3種類の複合素材と若返り栄養成分を開発~(中)
2017.11.29
編集部
ロート製薬は「脂肪幹細胞のコラーゲン産生能力をいかに活かすか」をテーマに取り組んだ製品開発の成果として、複合成分「ステムSコンプレックス」や若返り栄養成分「スラムCM」を開発した。
複合成分のステムSコンプレックスは、遊走移動する能力を高める目的で、カプロオイルテトラペプチド-3、トリペプチド-1銅、コラーゲンなど3種類の素材を組み合わせて開発した。
皮膚のハリを保つコラーゲンや潤いを保つヒアルロン酸を作るのは、表皮下の真皮層に存在する線維芽細胞がカギをにぎる。しかし、この細胞の働きは一般的に加齢とともに低下する。
そこで同社は、加齢で細胞の働きが低下することを把握するため、18~29歳の若者8人の肌から採取した線維芽細胞と、80歳以上の高齢者8人の肌から採取した線維芽細胞を培養し、I型プロコラーゲン産生能を比較した。その結果、80 歳以上の線維芽細胞のコラーゲン産生量は、若者の線維芽細胞に比べ少なかったことが明らかになった(図に繊維芽細胞のコラーゲン産生力を示す)。
また、皮膚を模した二相培養モデルを用いて行った脂肪幹細胞の増殖試験では、複合成分による脂肪幹細胞の“呼び寄せ作用”は、配合しない場合と比較して60%増で、脂肪幹細胞自体の増殖も促進した。また、この複合成分を配合した化粧品を使ったヒトの実験では、皮膚の表面を覆う角層の水分量が8週間で約2倍になったことを実証した。
一方、同社は、幹細胞を培養する際に分泌される培養上清に成長因子など若返りの栄養成分がたっぷり含まれていることに着目し、低分子培養上清「スラムCM」を顔発した。「この培養上清を、肌のアンチエイジングにも利用できないかと考え、たどり着いたのが培養上清に含まれる栄養成分を低分子化すること。世界で初めて成功し、肌の各層で栄養成分を働かせることを実現した。
この「スラムCM」の開発によって、表皮ではメラノサイトの活性化を抑えて保湿、抗炎症作用を発揮。真皮では、コラーゲン産生を皮下組織でハリをもたらすことに繋げた。