【連載】大手化粧品会社の研究①ポーラ・オルビスホールディングスの会社研究 ~ポーラ化成、研究開発の要諦担う、4ヵ年中計推進中~(下)

2018.01.30

特集

編集部

ポーラと並ぶ中軸企業オルビスは、1984年6月に化粧品販売チャンネルの拡大を目的に設立した。化学物質を一切使用しない「オイルカット」をコンセプトにして通販市場を攻略するなど、グループの中核企業にのし上がっている。
同社は、低中価格帯(1000円から3000円)領域を中心にネットやSNS、カタログ、チラシ等を活用した通販と合わせて駅ビル、商業施設に店舗「オルビスザ・ショップ」(平成28年12月末116店舗)を出店するなど店舗販売にも力を入れている。

ビューティケア事業における化粧品の研究開発は、ポーラ化成工業横浜研究所の研究開発部門で実施している。写真に研究風景を掲げる。
研究開発に当たっては、化粧品と健康食品の素材と製剤化研究を実施。化粧品では、肌に直接働きかける効果と心、身体に良い影響を与える効果の両面からアプローチしている。基礎研究、皮膚科学研究、安全性研究に加えて心理的、生理的効果を研究する美容科学研究を採り入れている。

研究及び開発体制は、研究開発部門の中の研究企画部が中心にとなって各部が連携しながら実施。特に、研究開発テーマごとに組織を編成し研究企画部、開発研究部、肌科学研究部、品質研究部、生産技術部で構成している。

開発研究部は、スキンケア品及びメイクアップ品に関する新しい原料基材や特殊成分・剤型の開発及び顧客のニーズに応える短期製品開発に対応。
肌化学研究部は、基礎研究の視点による有効素材や健康食品の素材開発を実施。
研究企画部は、製品の安全性、安定性試験、知財の薬事を通じた品質確保を実施。
生産技術開発部は、容器・包装材の生産設備の設計開発に取り組んでいる。また、静岡・袋井工場での生産やOEMメーカーとしての役割も担っている。

ところで、ポーラ・オルビスHDは、2017年度から2020年度のグループ新4か年中期経営計画(4ヵ年中計)を推進中。
「国内の収益性向上」、「海外事業全体での黒字化」、「次世代の成長ブランド構築」を目指し経営基盤の強化と資本効率の改善による企業価値の向上を図る。
4ヵ年の目標数値として
①連結売上高年平均3~4%の成長(2020年2500億円)
②営業利益額平均10%以上の成長、営業利益率2020年15%以上
③資本効率2020年ROE12
④株主還元を2017年12月期から連結配当性向60%以上を目指すことを掲げる。

当面の課題は、海外事業の立て直し。新中期経営計画では、海外事業全体での黒字化を「必達」としているが早期に改善するか注目の的。

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