手指用アルコール消毒液増産、一般消費者向け需要急増
2020.07.28
編集部
コロナウイルスの感染拡大に伴い現在、国内の手指消毒用アルコール生産状況は、今年6月で、昨年同月比約63倍の610万リットル(経済産業省調べ)と大幅増となっている。ここへきてこれまでの医療向け消毒液に加えて一般消費者向け消毒液が急増していることに対応するために政府は、化粧品メーカーや消毒メーカーなどに補助金を出して増産体制に入るよう要請するなど様変わりの状況にある。
株式会社資生堂(東京都中央区)は、国の要請を受けてこれまで医療機関向けに提供してきた手指消毒液を8月初旬から東京都内のドラッグストアなどで販売する。今後、需要や感染状況を見たうえで地域拡大を検討する意向。
同社は、今年4月以降、栃木県那須市、埼玉県久喜市、大阪府大阪市の3工場で医療機関向け消毒液をフル生産し月産20万本体制にある。
しかし、コロナの拡散拡大で市場において消毒液不足が表面化し、購入を求める消費者ニーズが高まってきたことから、新たに手荒れに配慮した一般向けの消毒液を開発。厚生労働省から承認を受けたことから、工場生産して一般向けに販売することにした。
株式会社マンダム(大阪府大阪氏)は、8月下旬から消毒用エタノールの代替品として手指の消毒にも使用可能な化粧品原料のみで作られた除菌スプレーの大容量タイプを:全国のドラッグストアや一部のオンラインショップ等で販売する。
「ビオレu 手指の消毒液」(写真)などを生産する花王株式会社(東京都中央区)は、既存の自社設備や製造委託先の設備などをフル稼働させて供給不足に対応してきたが焼け石に水の状況。
ここへきて、他製品を生産していたラインを消毒液向けに転用するなど、消毒液を生産できる全ての工場で生産に踏み切る意向。
株式会社ピカソ美化学研究所(東京都中央区)は、指定医薬部外品の消毒用ハンドジェルの承認処方を有していることもあって、2月の早い段階で商品化を進め、店頭ルートのドラッグストア、量販店、バラエティストア向けのほか、通販での販売および顧客へのインセンティブ商品として、既存の取引先だけではなく、新規取引先からも受注を獲得している。
政府は、品不足に陥っているアルコール消毒液の安定供給を図るため、増産設備の導入を行う事業者について補助金を出して消毒メーカーなどに増産を要請。現在までに花王やピカソ美化学研究所など13件を補助金交付の対象として認定した。
こうした一般消費者向け手指用アルコール消毒液の増産に伴って9月の国内生産量は一挙に1000万リットルの大台に乗せる見通し。