酒さの原因はピロリ菌?~マイクロバイオーム研究から
2013.09.19
編集部
その原因がよくわかっていない顔面の慢性炎症性疾患の「酒さ」の発病に、微生物が関わっているかもしれないという研究が9日、「Journal of the American Academy of Dermatology」オンライン号に掲載された。
「Potential role of microorganisms in the pathogenesis of rosacea(酒さの病因における微生物の潜在的な役割)」というこの論文は、多くの研究が人の皮膚にいるニキビダニの増殖、腸内のヘリコバクター・ピロリ菌感染と酒さの関連を指摘としている。また少数ではあるが、表皮ブドウ球菌、肺炎クラミジア、バチルス・オレロニウス菌などと酒さとの関連を示唆する研究も存在するという。近年注目されているマイクロバイオーム生物学や酒さの病態生理学からさらに研究を進め、酒さの発症に関与する微生物の役割を検討していくと総括した。
酒さの原因は元来、ストレス、紫外線、気候の温暖差、飲酒、香辛料などが考えられてきた。また、閉経前後の女性に多いことからホルモンバランスとの関係、片頭痛を合併することが多いことから血管運動神経との関係なども研究されている。今回の研究は、「マイクロバイオーム生物学」という新しい視点から酒さの原因を探ろうというもの。マイクロバイオームとは人の体内にすむ膨大な数の細菌群を指す言葉。医学への応用では、体内にすんでいる細菌の分布や種類に個体差があるため、病態や疾患の違い、個人差にもつながるという研究が進められている。