生活習慣の改善は認知症リスクを下げる可能性あり

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2019.07.26

国際部

ロサンゼルスで7月14日〜17日に開催された Alzheimer’s Association International Conference 2019(2019年アルツハイマー病協会国際会議、AAIC)で、 健康的な食事、運動、認知刺激などの健康的な生活習慣の選択が、認知低下や認知症のリスクを低下させる可能性があることが示された。研究者らはまた、遺伝や汚染など他の危険因子があっても、生活習慣を変えることでリスクを下げ、組み合わせたときに記憶に最大のメリットをもたらすとの所見を発表した。

複数の健康的な生活習慣因子の採用が、脳と体の健康に最大のメリットをもたらすことを示唆する研究が増えおり、今回の AAICでも米シカゴのラッシュ大学の研究者グループ、英エクセター大学医学部の研究チームの研究データなどが注視された。

シカゴのラッシュ大学医療センターの助教授であるクロディアン・ダハナ医学博士と同僚は、Chicago Health and Aging Project(CHAP; n=1431)とRush Memory and Aging Project(MAP; n=920)のデータを使用し、健康的な生活習慣がアルツハイマー病のリスクをいかに下げるかを精査した。研究者らは、健康的な食事、少なくとも週に150分の中程度から激しい身体活動、禁煙、軽度から中等度のアルコール摂取、認知刺激活動への参加の5つの低リスク生活習慣因子に焦点を当てた。CHAPで9年、MAPで6年の平均追跡期間中に、それぞれ293(21%)と229(25%)のアルツハイマー型認知症があった。4つあるいは5つの低リスク生活習慣因子を採用した研究参加者は、低リスク因子の採用がゼロあるいは1つだけの参加者と比べ、アルツハイマー型認知症のリスクが約60%低いことが研究者によって明らかにされた。研究者らは、現在採用している低リスク因子数にかかわらず、低リスク因子をさらに1つ採用すると、アルツハイマー型認知症のリスクがさらに22%減少することも発見した。

エクセター大学医学部の研究フェローであるエルズビエタ・クズマ博士とそのチームは、英バイオバンクの60歳以上の欧州人を祖先に持つ19万6383人の成人のデータを使用し、中央値8年間の追跡調査で1769例の認知症を特定した。研究者らは、参加者を認知症の遺伝的リスクが高い、中程度、低いグループ、さらに食事、身体活動、喫煙、アルコール消費に基づき、好ましい、中程度、好ましくない生活習慣のグループに分けて精査した。遺伝的リスクが高く、生活習慣が好ましくない参加者は、遺伝的リスクが低く、生活習慣が好ましい参加者と比べ、認知症発症の可能性がほぼ3倍高いことを発見した(ハザード比(HR)=2.83、95%、信頼区間(CI)=2.09-3.83、p<0.001)。遺伝的リスクが高い参加者の中では、好ましい生活習慣を続けた場合の原因を問わない認知症のリスクは、好ましくない生活習慣を続けた場合と比べ32%低かった(HR=0.68、95%、CI=0.51-0.90、p=0.008)。遺伝的因子が、健康的な生活習慣と認知症リスクとの関係を有意に変えることは確認されなかった。クズマ博士は、「この研究は、認知症の遺伝的リスクを相殺するために、われわれが実行可能なことがあることを示しているという点で、エキサイティングだ。われわれの研究では、健康的な生活習慣の順守が、遺伝的リスクにかかわらず、認知症リスクの低下と関連していた」と述べている。

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