自然にもある「遺伝子組み換え」食品
2015.04.28
国際部
以前は、自然界では起きないとされていた「遺伝子組み換え」だが、最近ではさまざまな細菌や真核生物などで見られるということが分かってきた。ベルギー・ゲント大学は4月21日、サツマイモに自然の「遺伝子組み換え」が見られたことを発表した。
サツマイモのゲノムから、アグロバクテリウム由来の遺伝子が含まれていることが分かった。アグロバクテリウムは土の中にいて、植物の根にこぶをつくる病原性を持つ細菌。また、接触した植物の根から自分の遺伝子の一部(T-DNA)を送り込む性質を持っているため、人工的な植物の遺伝子組み換えは、この細菌の性質を利用して行われることが多い。
今回の調査ではサツマイモ291品種を対象に実施された。栽培種のほか、野生種のサツマイモからもアグロバクテリウム由来の遺伝子が見られた。研究者らは、これを完全な証拠とは断定しなかったが、サツマイモにおける自然の遺伝子組み換えの存在を強く示唆した。
世代から世代へとDNAが受け継がれていくことを「垂直伝播」、異なる種のDNAが侵入したり、その一部が置き換わったりすることを「水平伝播」と呼ぶ。この水平伝播が自然における遺伝子組み換えとされている。