【連載】大手化粧品会社の研究(57)日華化学の会社研究 ~化粧品事業で100億円強を稼ぎ出す~

2018.11.5

特集

編集部

界面活性剤・高分子事業等の化学品事業を中心とする化学メーカーの日華化学株式会社(福井県福井市)は、美容サロン向けプロフェッショナル用頭髪化粧品ブランド「デミコスメティクス」に力を入れて取り組んでいる。
同社の界面科学のノウハウをベースに繊維部門で培った「洗う」「滑りをよくする」「染める」などの技術から発展したデミコスメティクスは、「髪の健康と美しさの追求」をテーマに毛髪科学に基づき髪の素材ケアを大切にした研究開発を推進。
1981年にデミ化粧品事業部(現デミコスメティクス)を設置して本格的に化粧品事業に参入。以降、オリジナリティ溢れる研究と顧客ニーズに基づいて開発したヘアカラー、パーマ剤や美容室専売品としてのヘアケア、スタイリング製品等を市場に投入してきた。
現在、美容室専売品化粧品としてヘアケア剤9シリーズ、スキャルプケア剤4シリーズ、スタイリング剤5シリーズ、カーリング剤3シリーズ、染毛剤2シリーズなど約25シリーズを投入・販売。また、医薬部外品として染毛剤6シリーズ、スキャルプケア剤4シリーズなど約11シリーズを投入。全国約80の販売代理店を通じて美容サロン等に卸販売している。
すでに、化粧品事業の売り上げは、2017年12月期で124億円にのぼっており、化粧品事業が屋台骨を支えている状況にある。

ところで同社は、2017年から2019年までの3ヵ年中期計画を策定し、取り組んでいる。この中で化粧品の数値目標を最終年度の2019年までに売上高130億円、営業利益24億円を目指す。
この数値目標を達成するため、化粧品事業の戦略として毛髪科学・皮膚科学に裏付けられた研究開発力をさらに強化し、美容室向けの主力ブランド「デミ」について高付加価値な新製品を開発するとともに、美容室向けエイジングケアブランド「イーラル」をハイエンドブランドとして地位を確立させ、国内美容室向け市場を深耕して更なる売上と収益率の向上を目指す。 また、2012年に立ち上げた通販化粧品ブランド「アンサージュ」でも新製品投入等で成長を目指すと共に、第4ブランドとしてサプリメント・インナービューティ(健康食品・機能性食品等)市場での事業化を検討する。

海外については、引き続きアジアを中心に市場成長が続くと見込み、韓国での更なる業容拡大、台湾市場での展開強化、ODM事業などによる中国等での市場展開を図り、美容室向けを主としたグローバル・ニッチ市場において世界トップの位置付けを目指す。

同社の化粧品事業の業績は、2017年から2019年までの3ヵ年中期計画通りに推移している。直近の2017年12月期の化粧品事業業績は、国内サロン向け販売が苦戦し、前期比1.3%減の約124億円にのぼっている。

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