【連載】大手化粧品会社の研究(70)AGCの化粧品事業に関わる会社研究 ~保湿性の高いスキンケア4商品を通販市場に投入~(下)

2019.01.16

特集

編集部

AGCは社名変更を契機に、独自技術を生かして新たな付加価値を生み出す多角化戦略の推進を成長戦略に据えた。これに伴い北海道曹達は、グループの新戦略に歩調を合わせ、独自技術を使った化粧品ブランド「ダ・カーポ」シリーズ(写真)を立ち上げた。
同社は、2008年に「キトローション」というブランドでキトサンエキスを含有した化粧水と乳液を販売した経緯がある。
「ダ・カーポ」シリーズは、2008年から展開していた化粧水ブランド「キトローション」の成分やデザインを大幅に改良し、新ブランドとしてスタートしたもの。

「ダ・カーポ」シリーズは、北海道曹達の登別工場でキトサンエキスを抽出して生産するとともに、スキンケアには、保湿成分のキトサンエキスをたっぷりと含み肌に敏感なエタノールや着色料などは、使っていない。容器外装は、白やピンク色を使うなど美容や使いやすさを追求した。また、キャップは、血色の良さや生命の輝きをイメージしたピンクゴールドを用いるなど外装にもこだわった。

2018年10月から、洗顔せっけん、化粧水、乳液、美容液の4商品をダ・カーポ専用のウェブサイトと一部の小売りチェーン店で、販売を始めている。
価格は、税別で1500~3500円。購入層は、肌に敏感な30~40代の女性をターゲットに充てている。

化粧品分野に参入したAGCと北海道曹達の課題は、消費者の知名度が低いこと。これまで企業向けビジネスが主体で、消費者の手に直接、届く製品の経験が少ない。
当面の売り上げ目標は、年間数千万円を見込む。しかし、商品ブランドをいかに個人層に浸透し需要に繋げていくか、これからが本番を迎える。

当面、ダ・カーポシリーズが個人層にどの程度、浸透するか、個人層の取り込みと合わせて販売促進策が決め手になる。特に、社名が旭硝子からAGCに変わったことで化粧品ブランドがどの程度、個人層に浸透するか、未知数の部分が多い。先行き、収益向上に繋がる具体的な新製品開発・販売等の戦略・戦術の構築がまたれる。

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