【連載】大手化粧品会社の研究(85)相生発酵の会社研究~ODM・OEMサービスに力を入れる~(下)

2019.03.26

特集

編集部

相生発酵は、現在、自社開発のスキンケアや入浴料、ヘアケア、医薬部外品等をオンラインショップ、店舗、訪問販売等のチャンネルで販売している。そうした自社開発商品を前面に押し出してODM・OEMサービスに力を入れている点に事業の特徴がみられる。

ODMは、Original Design Manufacturingの略語で、委託者のブランドで製品を設計・生産することをいう。生産コスト削減のために製品またはその部品を他の国内企業や海外企業などに委託して販売に必要な最小限の数量の製品供給を受けることにより、委託者である企業は大きなメリットを享受できる。
これに対しOEMは、Original Equipment Manufacturingまたは Original Equipment Manufacturerの略語で、委託者のブランドで製品を生産することを言う。
同社は、長年にわたり培ってきた「発酵技術」と「バイオ技術」をスキンケアやヘルスケアの分野へ活かしていきたいとの思いで、スキンケア、入浴料、ヘアケア、医薬部外品等のODM、OEMに力を入れてきた。

ユーザーとの間で行うODM・OEMの流れは1.打合せ 2.研究・処方開発 3.試作品の提案 4.パッケージ、デザイン等の提案 5.見積・概算価格 6.処方・パッケージ確定、正式見積契約 7.契約・発注 8.薬事申請 9.調合・充填 10.各種試験・品質管理⑪納品の流れで行う。
1の打ち合わせは、定性試験・防腐試験も適宜行い、より確実な製品を作り上げることに主眼を置く。
2の研究・処方開発は、完成した試作品を顧客に使用してもらい、テクスチャー・香調・保湿感その他を確認してもらう。顧客の評価・感想にもとづき、満足頂けるまで試作品を改良し、提案する。
3の試作品の提案は、顧客の製品価値を高める化粧箱、容器などを提案するもの。高級感を演出するパッケージから要望のロット・予算に即したパッケージなど顧客のニーズに応じて幅広いご提案を行う。
4のパッケージ・デザイン等の提案は、ある程度の試作品処方が固まりまた、容器や化粧箱などのパッケージ選定・仕様が暫定で確定した段階で概算御見積を提案する。最少ロットから経済的なロットまで、顧客の要望に基づき提案する。
5の見積・概算価格は、最終処方、最終パッケージ(全使用資材)仕様、製造ロット、納品先などすべてが確定したうえで最重的な正式見積もりを提案。
6の処方・パッケージ確定は、正式見積を確認後、双方の会社間で契約締結を行う。
7の契約・発注は、薬事法に沿った各種届出を行う。また各種パッケージ類の表示内容などに関しては、薬事法や景品表示法などの各種法律に照らしあわせて確認する。また、輸送テストその他各種品質面の確認も行う。
8の薬事申請・各種最終確認は、細部にわたるまで衛生管理に配慮した製造工場・製造設備にてISO9001(品質マネジメントシステム)にもとづき、厳しい品質管理体制のもと商品の製造を行い出荷する。

同社は、引き続き、特許として権利化している「米発酵液・米胚芽油」など植物エキスで洗浄を保護するシャンプーの用途開発や微生物応用の化粧品開発に力を入れながらODM・OEMの受注拡大に繋げていく方針。

#

↑