【連載】化粧特許と知的財産権⑩ノエビアHD、「商標登録」と「高品質ブランド」で知財権構築(上)

2019.06.24

特集

編集部

株式会社ノエビアホールディングス(HD)は「自然を科学する」という企業ポリシーのもと「美と健康の創造」に取り組み、自然派化粧品のパイオニアとして、安心・安全で機能性の高い化粧品を生み出している。
同社の業績は、2018年9月期売上高(連結)578億2800万円。このうち、化粧品事業の売上高は、前期比8.7%増の426億1600万円(売上構成比73.7%)となった。
化粧品事業の好調は、カウンセリング化粧品が新商品の美容液や高級化粧品の売り上げが奏功したこと。また、セルフ化粧品は、メイクの新商品が売り上げを伸ばしたことが要因。2019年9月期の売上高は、595億円を見込む。

こうした中、同社は、早い時期から国が主催する「特許ビジネス市」に応募し、取得した特許案件のビジネス化を実現する知財活動に取り組んできた。
同ビジネス市では、取得した特許「化粧料及び皮膚用組成物」について技術特性やビジネスプラン等を発表し、事業に関心を持った企業との間で、製品の共同研究開発や商品の販売協力、事業資金の協力などを募ってビジネスを成立させるもの。取得した特許を知的財産権として活用することで、新たな収益を生み出そうという取り組み。
こうした知財活動が評価されて国から知的財産権制度活用優良企業として大臣表彰を受けてもいる。

同社の知的財産活動の中で世界66か国において商標登録し、高級化粧品ノエビアブランドのみで品質を識別できるブランド商標を効果的に活用するなどして、品質に裏付けられたブランド価値を創造してきたことが高く評価された。
特に、知的財産部門と品質保証部門の組織を一体運営。商品の品質を担保することを意識した商標登録と独自の特許技術及び品質保証を融合させて差別化を図った高品質ブランドを構築。商標による品質表示機能を具現化するなど知的財産権と事業を一体化させた経営戦略が実を結んだ。

ブランド戦略に欠かせない商標権の基本的な内容は、ブランディングをしていく上で、消費者・顧客に「ブランド」を識別してもらうために、さまざまな「ブランド要素」に触れ、ブランドの事を知ってもらうことが必要になる。
ブランド要素とは、ネーミング、ロゴマーク、キャッチコピー、キャラクターなどブランドを識別させるコントロール可能な最小単位の要素のこと。
これらのブランド要素は、消費者・顧客にある特定のブランドを思い起こさせるために重要。特に、ネーミングやロゴマークを決める際は、事前に他社の権利を侵害していないかを確認する必要がある。日本では、知的財産権制度により、知的創造活動により生み出されたものは、創作した人の財産として保護されている。

知的財産権は、特許権や著作権など「知的創造物についての権利」と商標権や商号などの使用者の信用維持を目的とした「営業上の標識についての権利」の2つに区分できる。
ブランド戦略で重要な商品・サービスに使用するマークやネーミングを保護するのが「商標権」になる。同社は「商標権」と「高品質ブランド」の両肺体制で知的財産戦略を構築している点が特徴。

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