〇解説記事②人工知能(AI)、美容業界に変貌迫る ~美容業界に押し寄せるビューテックの波~(上)

2019.09.2

特集

編集部

人工知能「AI」(artificial intelligence)や物のインターネット「IoT」(Internet of Things)技術を美容へ応用・活用する「ビューティーテック」(Beauty=美容とTechnology=技術を融合した造語)の動きが活発化してきた。美容サロンや化粧品など美容業界各社が一人ひとりの顧客に合わせたパーソナルな美容法を実現するためにAIやIoTを活用した新しい肌診断システムを開発し、サービスに乗りだしている。

人工知能とは、人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータにプログラミングしたソフトウェアやシステムのこと。
具体的には、人間の使う自然言語を理解し、論理的な推論を行うなどのコンピュータプログラムのことをいう。このプログラムをスマートフォンやタブレット端末などの情報処理端末(デバイス)に搭載してサービスする。写真に人工知能搭載のデバイスを示す。

人工知能には個別領域に特化して能力を発揮する「特化型人工知能」と、領域にとらわれずに多種多様な分野において問題を解決できる「汎用人工知能」がある。
特化型人工知能とは、特定の任務を遂行するためだけに作られた人工知能。すでに多くの企業が特化型人工知能を自社のビジネスに活用している。

汎用人工知能は、SF映画やアニメなどに登場する「人間と同じように考え、人間と同じように判断して行動に移すことのできる人工知能」のこと。人間の思考や行動を完全に再現できることから汎用人工知能の知能は「人間同党もしくはそれ以上」であると考えられている。
しかし、現時点において汎用人工知能は存在していない。汎用人工知能には、外部からの情報を意味のあるものとして認識する能力が不可欠であり、実現には時間がかかる状況にある。ただし、人工知能は、人間が行うほぼ全ての単純作業を代行することが可能となっている。

現在、人工知能ができる分野として情報収集、認識(文字認識、音声認識、画像認識、動画認識)、記録(情報の解析、分類)、予測(ニーズ予測、動向予測、早期における異常検知、検索意図の予測)、選択(マッチング、提案)、作業プロセスの最適化(効率化)、作業の自動化、自己学習など。特に、大量のデータの記録や過去のデータをもとに行うパターン研究、最適解の選択といった作業は、人工知能が最も得意とする分野である。

だが、現在の人工知能にできないこともある。心や感情を持っていない人工知能は、人間の心を激しく揺さぶることができない。また、人間の感情を理解し、寄り添うことができない。
現在の人工知能にできないことは
①憧れや尊敬の対象となるカリスマ性
②先頭に立って前に突き進んでいくリーダーシップ
③過去に全く存在しない事例への対処
④驚きやひらめきによる爆発的な発想など。1日も早い汎用人工知能の開発が待たれる。

一方、IoTは、パソコンやスマートフォン、テレビなどのIT機器や身の回りの生活に関するあらゆるモノをインターネットに接続することで新しい価値やサービスを創出する。
IoTの仕組みは、デジタル機器でないモノとインターネットを接続させることで、どこからでも操作ができる。また、人が操作してインターネットに接続するだけでなくモノ自体がインターネットにアクセスすることも可能。
こうしたAIやIoTの波は、美容業界にとってAI、IoT技術を使った顧客取り込みや新規サービスは待ったなしの状況になってきた。

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