腸内微生物と肥満の研究には真菌も含めるべき
2017.10.18
国際部
腸内の真菌は肥満の発症に影響するという研究成果が10月11日、米国微生物学会(American Society for Microbiology:ASM)からプレスリリースされた。研究論文は、米国微生物学会のジャーナルである「mSphere」に掲載された。
腸内微生物(細菌)はこれまで肥満の発症に関与していることが分かっているが、この研究は真菌もまた役割を果たすかもしれないことを示している。真菌も微生物の一種だが、構造の違いで、原核生物は細菌(大腸菌、ブドウ球菌など)、真核生物は真菌(白癬菌、カンジダなど)と分類されている。主任研究者のCheryl Gale博士は、「微生物の構造と機能が特定の個体にどのようなものであるかを完全に把握するためには、すべての微生物を見て、どのように相互作用しているのかを実際に調べる必要がある」と述べ、肥満と腸内微生物の関係を示す研究の多くは、ヒトの代謝に関わっている真菌の影響を無視して、細菌にのみ注目していることを指摘した。
高脂肪食を与えられたマウスは、標準的食を与えたマウスよりも細菌19種、真菌6種の分類群の存在量が有意に異なっており、高脂肪食によって真菌および細菌の微生物構造全体において同等の変化を引き起こされていることが確認できた。研究者らはまた、標準食を与えられたマウスにおいて、特定の真菌と細菌とに共存の相関関係があることを特定し、高脂肪食をマウスではこれらの共存相関の数が減少することも見出した。これらの結果から、腸内微生物とヒトの代謝との新たな関係を発見しようとする研究に、真菌群分析を含めることが支持された。