砂糖の過剰摂取から肥満発生までのタイムラグ
2019.10.1
国際部
過剰な砂糖の摂取から肥満発生までのタイムラグに関する調査結果が9月17日、「Economics & Human Biology」オンラインに掲載された。
この研究は米国の食生活と肥満に関して、University of Tennesseeの研究者らによって行われた。米国では、20世紀に添加物としての砂糖を利用する加工食品の増加により食生活が一変した。過去30年にわたる調査で、米国の成人肥満の劇的な増加には砂糖の過剰摂取が関係していることが多いことが分かっているが、砂糖摂取の増加から何年も経って肥満が増加した理由は不明である。
今回、糖カロリーの摂取増加の累積効果として成人の肥満が増加しているかの確認を目的に調査を行った。入力変数として米国の砂糖消費に関する年次データを使用したモデルを作成し、各年齢コホートでは各年次の前年の肥満率に加えて、平均過剰糖消費の単関数を使用した。作成したモデルは実際の年次データから以下の3つの側面を複製したシンプルなものとした。a)米国の成人肥満率の増加の遅れたタイミングと大きさ(1970年の約15%から2015年の約40%); b)しっかりしたデータがある米国の州における2015年の年齢層別の肥満率の増加(50歳までに47%の肥満に達する); c)1988年から2000年代半ばまでの成人の肥満率の数パーセントの増加と、それに続く2000年代半ば以降の幼児の肥満率の緩やかな低下。
その結果、このモデルでの1990年以降の成人の肥満の急激な増加は、1970年代および1980年代に子供だった人が消費した過剰な糖カロリーによる影響の遅れを反映していた。