肥満の高齢者に栄養失調多い
2022.05.20
国際部
高齢の肥満患者における低栄養の状況と要因を検討した結果が5月16日、「Aging clinical and experimental research」オンラインに掲載された。高齢者では肥満と栄養失調の両方が一般的な健康問題として認識されている。
今回の研究では、包括的老年医学的評価を受けた高齢者1911人(平均年齢77.34±8.0歳)を対象とした横断研究を実施した。
その結果、931人 (48.7%)が肥満で、そのうち6.0%が栄養失調で、26.3%が栄養失調のリスクがあった。年齢、女性、未亡人、子供と同居している人、使用した薬の数、心不全、パーキンソン病、認知症、ふくらはぎの周囲長と筋力の低下は、栄養に問題のない肥満患者よりも栄養失調の肥満患者で多く見られた。低栄養の肥満者では、高栄養の肥満者に比べ、基本的および手段的日常生活動作、および起立・歩行・体幹バランス評価のティネッティスコアは低く、転倒および老人性うつ病スケール-15のスコアが高かった。高齢患者の半数は肥満であり、3人に1人が低栄養だった。低栄養は機能的能力の低下、バランスおよび歩行機能の障害、転倒、および気分の落ち込みと関連していることが示唆された。