摂取カロリー減で肥満は増…統計データの取り方に問題?

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2016.08.12

国際部

英国内閣府所属の組織Behavioural Insights Team(BIT)は8月8日、摂取カロリーが減って肥満は増えているという公式統計の謎に関するレポートを発表した。

英国の公式統計では、この40年間でカロリー摂取量の大幅な低下を報告しているが、同期間で肥満者の割合は増加している。これが事実であるならば、肥満対策を考える政策立案者は、摂取カロリーを減らすよりも、運動を増やすことに焦点を当てるべきということを示唆している。

BITでは、カロリー摂取に関する公式統計の収集方法を詳細に検討することとし、いくつかの新しい知見を得た。そのうち一番重要なものは、国による摂取カロリーの統計が過小推定値を取っていることだった。さらに、この問題が時間の経過とともに悪化してきたことも上げられた。過小報告の増加を補正してみると、カロリー摂取量は低下ではなく、増加していることが分かった。また、簡単にスナックが食べられるような現代では、3度の食事以外も含む総摂取カロリー量の把握は難しいことも示唆された。

BITはさらに、運動量の低下は肥満の主な原因であるという議論に取り組んだ。体重の多い人はその体重を維持するためにより多くのエネルギーが必要だということを考えれば、運動量の低下では説明できないほど肥満の増加度は大きいことがわかる。したがって、運動量の低下を肥満の主因とすることは妥当な説明ではない。現在、英国政府統計サービスはBITのこのレポートに積極的な対応を示し、カロリー摂取量の計測方法の変更を検討しているという。

日本でも、厚生労働省による「国民健康・栄養調査」が実施されており、カロリー摂取量は減少傾向、肥満者の割合は増加傾向という「謎」の減少が起きている。特に2008年の摂取カロリーが終戦直後の摂取カロリー量を下回ったことでも大きな話題となった。

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