肥満を防ぐ遺伝子組み換え大豆で肝機能障害
2017.10.11
国際部
オレイン酸を強化した遺伝子組み換え大豆は肥満を防ぐものの、肝機能障害も増加させたという研究発表が10月2日、「Scientific Reports」オンラインに掲載された。
研究の対象となった大豆は、2014年にデュポン社(本社・米国デラウェア)が開発発売した遺伝子組み換え大豆「Plenish(プレニッシュ)」。大豆は不飽和脂肪酸のリノール酸が豊富な食品で、大豆油は健康であるとされてきた。ところが近年、コレステロールを減らす効果があるが、肥満と関係があることを示す研究が続き、過剰摂取に注意が必要とされていた。「Plenish」は大豆のリノール酸を減らし、もともと大豆には多く含まれていなかったオレイン酸をオリーブ油の同等のレベルまで高めたもの。ヘルシーな食用油としても、汚染物の少ない工業用オイルとしても使用可能という。日本では食用として認可済み。
この研究では2種のダイズ油、ヤシ油、および低脂肪食を豊富に含む食餌を与えたマウスの比較で、肝臓のプロテオーム全体的な違いが明らかとなった。Plenishは、従来の大豆油よりもインスリン抵抗性は抑えられたが、類似の脂肪酸組成を有するオリーブ油と同様に、肝腫大および肝機能障害は増加させていた。