【連載】化粧特許と知的財産権⑦タカラベルモント、デザイン開発や模倣品排除に先駆的役割(下)

2019.06.7

特集

編集部

タカラベルモントは、サロン経営に力を入れる一方で知財権活用が評価されて国から表彰を受けている。同社は、2012年4月に経済産業省特許庁から「意匠活用など知財功労に尽力した」として2012年度「知財功労章・経済産業大臣賞」を受賞した。
先行的なデザイン開発とともに、海外を含めた模倣品の排除や技術の発展に貢献したことが評価された。
受賞のポイントとして一歩先を行くデザイン開発とともに、海外を含めた模倣品の排除に意匠制度を積極的に活用。国内においては、多数の模倣品を排除した実績がある。 また、全体意匠及び部分意匠を出願するとともに過去の経験則から他社の模倣態様を想定し、類似の範囲を十分考慮したバリエーションに富んだ関連意匠を出願していること。 さらに、2年に1回、同社独自の新たなデザイン・機能等を業界向けに提案する展示会を開催。業界のトップメーカーのひとつとして業界全体のデザインや技術の発展に貢献したが評価のポイントになった。

同社は、これまで、オンリーワン、ナンバーワンを目指して差別化した理美容機器を提供するとともに、他社に模倣されないよう特許権や意匠権等を確保して市場の拡大を図ってきた。
世界シェアトップを誇る美容イスは、座部とチェアベースを組み合わせることで、様々なバリエーションを生み出すことができる。しかし、イスの全体意匠では、権利行使が容易ではない。そこで、イスの座部とチェアベース等の部品に分けて権利を取得。また、特徴がある肘掛け部等については、部分意匠として権利を取得。更に、過去の経験則から模倣態様を想定し、類似の範囲を十分考慮したバリエーションに富んだ関連意匠を取得するなど意匠制度を最大限に活用している。

海外を含む模倣品対策として同社は、ネット販売の拡大により中国製のイスが美容室に納入されるケースが増加。同時に、同社の商品を模倣した商品も多く見られることなどから知財権を積極的に活用。警告や必要に応じて提訴するなどの強硬手段に打って出ている。

開発本部の知財グループでは、全体ミーティングを定期的に開催し、知財情報を開発者やマーケティング担当にフィードバックして情報を共有し、開発部門と営業部門との連携を図っている。また、社内の知財教育の一環として、意匠権の取得判断や商標権の類似判断について勉強会などを実施している。

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