「酒は百薬の長」ではないかも
2014.07.18
国際部
適量のアルコールは健康に良いと言う人もいるが、飲酒量が少ない人でも、さらに酒量を減らすとからだに良いようだという研究が7月14日、「BMJ」オンライン版に掲載された。
56件の疫学的研究を対象に、心臓血管疾患とアルコールの関係をメンデル無作為化メタアナリシスという最新の解析方法で検討した。体内でのアルコール代謝に関わる「アルコール脱水素酵素1B遺伝子(ADH1B)」という遺伝子の変異を調べた結果、ADH1B rs1229984のAアレル遺伝子の保有者は非保有者に比べ、週当たりのアルコール消費量が少なく、大量飲酒の回数が低く、また飲酒の節制率が高かった。Rs1229984のAアレル遺伝子の保有者は非保有者に比べ、収縮期血圧、インターロイキン6濃度が低く、胴囲とボディマス指数(BMI)が小さかった。Rs1229984のAアレル遺伝子保有者は、冠状動脈性心疾患と虚血性脳卒中の可能性が低かった。
これらの結果から、アルコール代謝に関わる遺伝子の変異保有者は心血管疾患、冠状動脈疾患のリスクが低いことがわかった。少量から中程度の飲酒者にとっても、飲酒量を減らすことは、心臓の健康にとって有益と示唆された。