肥満は心筋梗塞や死亡リスクと関連しない
2016.08.8
国際部
心筋梗塞や狭心症などの心臓病リスクとして対策が取られてきた「肥満」だが、実はそうではないらしいという研究結果が8月1日、「JAMA Internal Medicine」オンライン版に掲載された。
研究は、疾患の遺伝的リスクを同じとするために一卵性双生児4046組を対象に実施された。対象はスウェーデンの双生児レジストリから同定した。BMI値が異なる双子で(差 >0.01)、心筋梗塞・2型糖尿病・死亡のリスクを比較した。研究期間は1998年3月17日から2003年1月16日まで行われ、その後の2013年12月31日までを追跡期間とした。
研究開始時の平均年齢は57.6歳、平均追跡期間は12.4年だった。BMIが高い方のグループでは203人(5.0%)が心筋梗塞を発症し、550人(13.6%)が期間中に死亡した。対する、BMIが低い方のグループは、209人(5.2%)が心筋梗塞、633人(15.6%)が死亡した。多変量解析で、オッズ比は0.75だった。BMIの差が7.0以上の場合も、高BMIの人が30.0以上の場合も、心筋梗塞と死亡リスクにはBMIによる差がなかった。一方、糖尿病の発症リスクは高BMIグループで有意に高かった(オッズ比2.14)。
審美的な問題とともに、健康上の問題も大きいとされてきた肥満だが、懸念されていた心臓への負担よりも糖尿病リスクがはるかに高いことがわかった。