マンカイウキクサの鉄分補充効果は?
2019.04.2
国際部
マンカイウキクサを追加した地中海式食事に貧血改善の可能性を示唆した論文が3月27日、「The Journal of Nutrition」オンラインに掲載された。
肉の摂取が少なくなると鉄分が不足することは減量食、健康食などのダイエットにおける大きな問題のひとつである。今回の研究では、鉄分の多い赤身肉が少なく、魚を多く摂取することが特徴の地中海式食事に、たんぱく質と鉄分が豊富なマンカイウキクサを加えた後のヒトの鉄分状態を調査した。マンカイウキクサ(Mankai)は英語名Wolffia globosa duckweed。直径約0.5mmの超小型の浮草で、増殖性に優れ、環境負荷を抑えての大量生産が可能。たんぱく質、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸、食物繊維を含み、特にたんぱく質は大豆に匹敵するアミノ酸バランスと、さらに優れた消化吸収力があり、グルテンおよびコレステロールフリーの食材として注目されている。
肥満または脂質異常の成人を対象とした試験では、開始6カ月後の鉄の状態は運動のみ行ったグループと運動+地中海式食事を行ったグループの間で同等だった。ヘモグロビンは、運動+マンカイウキクサ追加の地中海式食事グループで緩やかな増加がみられた。血清鉄および血清トランスフェリン飽和度、および葉酸も、運動+マンカイウキクサ追加の地中海式食事グループで増加が見られた。さらに行われた、鉄欠乏性貧血誘発食を与えたラットを用いた試験では、グルコン酸第一鉄を与えたグループおよびマンカイウキクサを与えたグループのどちらもヘモグロビン濃度の回復が認められた。