株式会社アイスタイル 取締役 兼 CQO私の使命
インタビュー・山田メユミさん

インタビュー

監修:美容経済新聞

第10回「若き経営者としての悩み」

 

サイトの成長は予想通りも

収益には結びつかなかった日々

『@cosme』を軸とした収益モデルについては、設立当初からずっと試行錯誤を重ねてきました。サイトを立ち上げた時点の計画でいうと、ECサイトへのアフィリエイト誘導と、自社運営のECサイトの立ち上げを、もう少し早く手がけるつもりでいたんです。しかし、前述した通り化粧品会社さんは業界の特性もあって、eコマースへの参入が自分たちの予想よりも遅かった。一方で会員の皆さんからのクチコミ投稿やアクセス数は想像して以上の速さで伸びていきましたので、メーカーさんのマーケティング活動のお手伝いの方が、事業としては早く立ち上がっていきました。サイトの成長に関しては当初予定通り順調にいきましたので、設立時の事業計画通り広告事業やマーケティング事業を少しずつ立ち上げていきました。それでも、設立から2年目までは赤字が続いて苦しかったですね。ただ、資生堂さんとの事例のように取組みも広がっていって、ブランドとユーザーの出会いの場となるようなイベントの開催や、実際にユーザーに商品を試していただいた際のリアルな声をサイト上で発信する形のタイアップ型広告掲載を多く手がけさせていただくようになりました

先輩起業家や業界関係者に

アドバイスをもらう

当時は自分も会社のスタッフも若かったので、気力体力で課題を乗り切れたところはたくさんあります。一方で、30歳そこそこで、会社を経営し、スタッフをマネジメントし、サイトを舵取りしなければならず……。当時はどれだけ人に隠れてひとりで泣いたかわかりませんね(笑)。しかも、会社設立メンバーの多くがコンサルタント出身。メーカー出身の私とは共通言語も違っていまして、専門用語がわからなかったりすることもありました。たまに「なんだ、そんなことも知らないのか」というようなことを言われると、、やっぱり悔しかったです。

創業メンバーの仲間たちは、戦友だし、もちろん信頼もしています。でも、最大のライバルでもあるんですよ。だから、言い負かされるとやっぱり悔しい。ただ、振り返るといろんなことを悔しい悔しいと言いながら必死にやってきたことが、自分の成長に繋がったんだろうなと思っています。楽ではなかったですけどね。

経営に関する悩みについては、周囲にいらした先輩経営者の方々によく相談させていただいていました。若くして起業したメリットというか、若かったからこそ、「分からないから教えてください」と素直に言えたし、本当に色んな方に助けていただきましたね。インターネットで起業されている方のコミュニティや、その中でも特に女性のコミュニティの方にお声がけいただいたり、あるいはこちらから扉を叩いたりして、様々なネットワークを作ろうと努力していました。今から考えると、多くの人とのご縁に恵まれたなと。あとは、仕事でお付き合いがはじまり親しくさせて頂いていた化粧品業界の方々や、前職の上司にもよく相談に乗ってもらっていました

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株式会社アイスタイル 取締役 兼 CQO 山田メユミさん

株式会社アイスタイル
取締役 兼 CQO


東京理科大学基礎工学部生物工学科卒業。
化粧品メーカーなどを経て、1999年に個人で発行していた化粧品のメールマガジンをきっかけに『@cosme』を企画立案、サイト立ち上げに参画。アイスタイルの共同創業者であり、現在も同社取締役兼CQOを務めるほか、経済産業省等の消費およびインターネット関連委員も歴任している。2017年より、株式会社かんぽ生命保険、セイノーホールディングス株式会社の社外取締役を務める。
文=岡本茉衣 写真=是枝右恭

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