株式会社アイスタイル 取締役 兼 CQO私の使命
インタビュー・山田メユミさん

インタビュー

監修:美容経済新聞

第15回「自分ですべて解決しようと思わないで」

「子どもを産むのって

こんなに肉体的に大変なんだ」

体調を崩した時期は、仕事が気にかかりながらも、自分の身体が思うようにコントロールできないもどかしさでいっぱいでした。ひどい乳腺炎を繰り返し、高熱を出してしまって、つねに頭や身体がだるい。子どものことも心配。仕事も詰まっている。まだホルモンのバランスも整っていないので、精神的にもきつかったですねて……。これは一度リセットしてきちんとお休みをしないと大変なことになるなと感じまして、仲間達に相談させてもらい、改めて4ヶ月ぐらいまとまって育児休暇を取らせてもらうことにしました。

休暇中も、スカイプとかメールのやりとりは続けていましたので、完全に休んだという形ではなかったですけれども、それでも肉体的にはだいぶ落ち着きました。子どもとの時間もとれましたし、人生で初めて主婦業をして一生活者として感じたこともたくさんあったので、結果的にはお休みを頂いて本当に良かったですね。

周囲に自分の仲間を作って

いざというときに助けてもらおう

産後は、外部の力を借りさせてもらうことがとても多くなりました。実家は関東ですが、それほど近隣というわけでもなく、親も高齢になっていますので、母や義母に子どもを見てもらうのは本当にどうしようもないときだけ。基本的には夫婦で子育てをしています。また区のサポートを利用して、ベビーシッターさんやヘルパーさんに助けていただきましたし、民間のベビーシッターさんや、シルバー人材センターの方にもサポートをお願いをしています。掃除や洗濯、食事など家事代行利用することに対しては、実は最初は少し抵抗がありました。でも出産後に体調を崩してしまった際に利用せざるをえずお願いしたのですが、実際にサービスを利用していくなかで信頼関係が築け、自分なりの活用の仕方も見えましたので、今はかなり色々なサービスに頼っています。本当にありがたいことですし、それがなければ仕事と家事の両立はできていないと思います。

このときに学んだ教訓は、自分ですべてを抱え込もうとせずに、自分のいまの状況をなるべく日頃から周りの方にお伝えしておくこと。、仲間から手を差し伸べていただける環境を作っておくことですね。キャリアを積んでいる女性は特に、「すべて自分で解決しなければ」「周囲に迷惑をかけてはいけない」と、何事も自分でやらなければいけないという思いが強く働いてしまいがちなのではないでしょうか。でも、子どもができたり、闘病が必要になったり、親の介護が必要な状態になったり、自分が仕事以外のことにも関わらなければならない状況が生まれたときに、すべて自分で解決するのは、やはり難しいのではないでしょうか。仕事を完璧にこなして、育児や介護も完璧で、家事も完璧で、というのはまず不可能だと思う。周囲の方に普段から意識して、自分のことや家族のことを話して、互いにサポートしあえる状況や仲間を作っていく。頼れる先も一つだけではなく、複数見つけておく。こういうことって本当に大事だなと痛感しましたね。日本ではまだまだ、家に他人を入れることに抵抗がある方も多いかもしれませんが、サポートはぜひ積極的に活用してみてください。優先順位を決めて、手を抜けるところは抜いていくことも、仕事と家庭を両立していくひとうのコツかなと感じます。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
株式会社アイスタイル 取締役 兼 CQO 山田メユミさん

株式会社アイスタイル
取締役 兼 CQO


東京理科大学基礎工学部生物工学科卒業。
化粧品メーカーなどを経て、1999年に個人で発行していた化粧品のメールマガジンをきっかけに『@cosme』を企画立案、サイト立ち上げに参画。アイスタイルの共同創業者であり、現在も同社取締役兼CQOを務めるほか、経済産業省等の消費およびインターネット関連委員も歴任している。2017年より、株式会社かんぽ生命保険、セイノーホールディングス株式会社の社外取締役を務める。
文=岡本茉衣 写真=是枝右恭

#

↑