株式会社アイスタイル 取締役 兼 CQO私の使命
インタビュー・山田メユミさん
監修:美容経済新聞
第4回「メルマガを始めるという転機」
データベースを意識して
プライベートにメルマガを配信
この1998年〜99年当時というのは、パソコンの価格が手頃になって、ちょっとずつ世の中に普及してきた時代で、パソコンが一般の人に利用されるようになっていった頃ではないかと思います。ちょうど日本のインターネット人口が1,000万人ぐらいだった時代だと思いますが、流行りものが好きな方が個人でパソコンを買って、なかにはホームページを作って、というような人がちらほら周囲にいた時代でした。自分も例に漏れず、新しもの好きでミーハー。パソコンを買ってインターネットを始めてみたわけですが、とても面白かった。ある時、ネットで知り合った友人と話していたときに「化粧品が好きで化粧品の仕事をしているし、書くのも好きなんだからメルマガでもやってみたら?」と言われたんです。そこで「よし、じゃあやってみようかな」と。ただ、メルマガを仕事にしたり、ましてや起業したりなんてことは夢にも思っていなかったですね。
いろいろ使うなかで、「まぐまぐ」というメルマガ配信サービスが便利だったので利用してみることにしました。
マーケティング調査に比べて
メルマガへの反応は熱量が圧倒的!
自分の知識や持っている情報を、仕事とは離れたスタンスで、そしてあくまで一個人で発信してみようかと始めたメルマガでしたが、始めてみたら想像以上にすごいスピードで読者の方が増えていった。そしてどんどんお返事をいただくようになったんです。自分としてはそこまで期待値がなかったので、思いがけず反響が大きくて、どんどんレスポンスをいただくようになって……というのは、本当に驚きました。
自分のメルマガにどんな方が配信登録してくださっているかという個人情報はわからないんですが、お返事をいただいた感触でいうと、ほぼ女性。そして化粧品が好きな一般の方が読んでくださっていたように思います。年齢層としては20歳代、30歳代の、美容感覚も情報感度も、美容への認識も高い方でしたね。当時の状況でいうと、美容の専門誌は発行されていましたが、美容ジャーナリストや化粧品や美容のプロの方からの情報発信がメインでした。しかし、消費者発信の情報を得られる場所というのは、他にはあまりなかったように思います。
当時は商品開発の仕事をしていた関係で、マーケティング会社に調査をお願いして結果をいただいたり、自分たちもアンケート調査をしたりということをしたのですが、そうして上がってきた答えよりも、自分のなけなしのお財布やお小遣いから商品を買って「これはすごくいい!」と感じて自発的に私に寄せてくださる声のほうが、エネルギー、パワーがあるんですよね。。それを、もう鳥肌が立つような思いで感じていました。
株式会社アイスタイル
取締役 兼 CQO
東京理科大学基礎工学部生物工学科卒業。
化粧品メーカーなどを経て、1999年に個人で発行していた化粧品のメールマガジンをきっかけに『@cosme』を企画立案、サイト立ち上げに参画。アイスタイルの共同創業者であり、現在も同社取締役兼CQOを務めるほか、経済産業省等の消費およびインターネット関連委員も歴任している。2017年より、株式会社かんぽ生命保険、セイノーホールディングス株式会社の社外取締役を務める。