株式会社アイスタイル 取締役 兼 CQO私の使命
インタビュー・山田メユミさん

インタビュー

監修:美容経済新聞

第13回「若い時の苦労は糧になる」

女性は若いときに自分自身が

誇れるキャリアを作ってほしい

「これからの若い女性のキャリアについてアドバイスを?」と社内外で問われた時に必ず申し上げるのは、特に女性は自分の将来の選択肢を広げるために、できるだけ若いうちに必死になにかをやり遂げる経験や、仕事だけでなくいろんなことに精いっぱい取り組む経験をしたほうがいい、ということです。私は、女性はできるだけ前倒しにキャリアを考えて、チャンスを得て積極的に経験を積んだほうがいいと思います。自分自身が誇りに感じる経験や、「これをやってきたんだ」と言えるようなキャリアを作っておいてほしい。なぜなら、そう思えるなにかがあると、子どもを産もうと考えたときや、産休から戻ってくるときに、「自分は会社に戻れるのだろうか」とか「社会から必要とされているんだろうか」といったお悩みを持たずに済むと思うのです。私自身も20代で起業することになり、時には悔し涙をながしながら必死に働いてきたことが間違いなく自分の糧になっていますし、その時間がなければ今の自分はないなと感じています。若いうちにできるだけ場数を踏んでおけば、その先、自らの意思で選択肢を選ぶことができる材料になるのではないでしょうか。

再婚を機に出産を考える

働きながら不妊治療へ

私は40歳と42歳で子どもを産んでいますが、確率論でいうと、年齢を重ねるほど子どもを出産できる可能性は低くなる。私は幸運にも子どもを授かりましたが、そうならないケースもあるわけで、だからこそ、できることなら早い時期から動くのが大事、と女性スタッフに出産についてたずねられたときはお話するようにしています。

少しプライベートなことになりますが、子どものことについてお話します。前述した通り、30代半ばまでは子どもを産むことは微塵も考えていなかったのですが、39歳の時に縁があって再婚することになりました。再婚をきっかけに、子どもがいる生活について考えるようになったんです。ちょうど父がガンと闘病中で、できれば孫の顔を見せたいと思ったことも大きかった。それで、不妊治療に取り組むことにしました。仕事もバタバタな時期でしたので、期間を区切って不妊治療に取り組んでみて、授からなかったらそれで諦めようと、夫と話し合って決めたんです。不妊治療、特に仕事をしながら不妊治療に取り組むというのは、本当に、本当に大変なことだと思います。第一に、仕事をしながら通院するのが難しい。通院をするために、半休を取ったりお休みを取ったりするしかない方が大半ではないでしょうか。私の場合、たまたま会社の目の前にクリニックがあって、ミーティングの合間とか、朝、業務開始前にクリニックに立ち寄ることができたので、あまり仕事には穴を開けずに続けられましたが、それでも、心身にかかる負担は大きかった。自分は経営側にいてある程度スケジュールのコントロールもききますが、社員としてお勤めの方は方はなおさら通院は大変な壁だと思います。不妊治療そのものが退職の理由に繋がってしまうことが多いもうなずけますし、会社としてできるかぎりのサポートもを行っていけたらと思います。

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株式会社アイスタイル 取締役 兼 CQO 山田メユミさん

株式会社アイスタイル
取締役 兼 CQO


東京理科大学基礎工学部生物工学科卒業。
化粧品メーカーなどを経て、1999年に個人で発行していた化粧品のメールマガジンをきっかけに『@cosme』を企画立案、サイト立ち上げに参画。アイスタイルの共同創業者であり、現在も同社取締役兼CQOを務めるほか、経済産業省等の消費およびインターネット関連委員も歴任している。2017年より、株式会社かんぽ生命保険、セイノーホールディングス株式会社の社外取締役を務める。
文=岡本茉衣 写真=是枝右恭

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