株式会社アイスタイル 取締役 兼 CQO私の使命
インタビュー・山田メユミさん
監修:美容経済新聞
第17回「ISパートナーズの取組み」
千葉県流山市に
子会社のサテライトオフィスを設立
第一子を産んだのは、こうしたバタバタな状況のなかだったんです。第二子はその2年後の2015年に出産しました。第一子のときの反省で、やはり今度はきちんと休暇をとろうと「3ヶ月は休みを取らせて欲しい」と予め周囲にも話をし、、諸々の業務の引継ぎを行ってから産休・育休に入りました。やはり全然体調の戻りが違いましたね。産後は、女性は数ヶ月は休まないといけない、という先人の教えは正しかった(笑)。
実は同時期に父が辛い闘病生活を送っていたんです。長らく闘病を続けていたのですが、いよいよ最期を覚悟しなければならない時期が迫っていました。そこで産休・育休と同時期に、父の看護にも多くの時間を使うことができました。育休を取っていなかったらそこまで父との時間をとれなかったはず。育児と介護の両立は物理的に大変でしたが、父の最期に向けて、家族との濃密な時間を過ごせたことは、とてもありがたかった。神様に感謝していますし、自分として出来る限りの事はやれたので良かったなと思っています。
また、2人目を産んだ頃から、「女性が働くためには、受け入れ側の企業の柔軟性が必須。とくに就業時間、就業場所、契約形態にはもっと自由度(フレキシブルさ)が必要なのでは」と考えるようになりました。この3つの自由度が高ければ、ライフステージに合わせて女性がいろんなことを諦めたり、活動するのに不安を感じたりしなくてもいいのではと、自分の経験としても感じたんですね。そこで、さまざまなライフステージにいる方が、その人にとって最適な環境で仕事ができ、能力を発揮していただけることを目指した会社、ISパートナーズを2016年3月に設立しています。また同じタイミングで、千葉県流山市に、近隣女性に職住近接で働いていただくためのサテライトオフィスの立ち上げをサポートしています。
自身の出産や仕事と子育ての両立で得たリアルな経験値や、苦しんだことを最大限反映させ、いまアイスタイルグループとしてできる一つの解として考えて立ち上げた会社とサテライトオフィスです。
自由度の高い組織で
美容×ITのスペシャリストをつくる
ISパートナーズのミッションは、地域の女性を雇用して、たとえ未経験であっても、ITの必要知識や美容の専門スキルを提供することで、ITと美容のスペシャリストを育てること。そしてそれを、物理的な場所にとらわれずに拡大していくことです。流山は最初のサテライトオフィスになります。
こうしたダイバーシティな活躍を推進する取組みは、社会的にも、企業としても求められています。ただ、アイスタイル本社のなかでいきなり仕組みを作ろうとすると、不公平感が出たり、誰にどこまで実施するのかという議論がついて回ったりして、難しさも伴うと思います。あえて子会社にしたのは、就業規則をはじめとするさまざまなルールを、できる限り障壁を低くした環境でどこまで実施できるかチャレンジしたかったから。子会社のなかでの成功事例はどんどんアイスタイルグループ内の各社にフィードバックして、アイスタイルグループ全体として新しい働きができるようにつなげていきたいと思っています。ISパートナーズではサテライトオフィスと在宅ワークを上手に組み合わせた形での就業スタイルが浸透していますが、これは上手くいっています。そこで、本社でも在宅ワークのテスト導入をはじめています。
株式会社アイスタイル
取締役 兼 CQO
東京理科大学基礎工学部生物工学科卒業。
化粧品メーカーなどを経て、1999年に個人で発行していた化粧品のメールマガジンをきっかけに『@cosme』を企画立案、サイト立ち上げに参画。アイスタイルの共同創業者であり、現在も同社取締役兼CQOを務めるほか、経済産業省等の消費およびインターネット関連委員も歴任している。2017年より、株式会社かんぽ生命保険、セイノーホールディングス株式会社の社外取締役を務める。