第1期対談第35回 「コミュニケーション能力」、具体的には?

2018.07.1

業界展望

admin

美容業においてコミュニケーション能力は必須。それではコミュニケーション能力とは具体的に何なのか、不可欠なのは「反応力」だと、美容経済新聞論説委員 野嶋朗氏は指摘する。プロの素人化が進む現代において、仕事のプロフェッショナルになるためにどうすべきか、美容経済新聞編集長 花上哲太郎がインタビューを行った。

コミュニケーション能力の基礎は「反応力」
20歳代後半ではもう手遅れ?!

野嶋 本日はプロとしての働き方を高めるために、コミュニケーションについて取り上げます。

花上 エステティックやヘアサロンなどの美容業は、いわゆるコミュニケーション能力が必須の職業ですね。

野嶋 まずは仕事の「プロフェッショナル」についておさらいです。マルコム・グラッドウェルが唱えた「一万時間の法則」で唱えたように、どんな仕事でも、プロになるために必要な時間は概ね1万時間。1万時間に満たないまま仕事を辞め、そのまま何度も転職をしてしまうと、どの仕事就いても専門性を発揮することが出来ず一人前にはなれません。

花上 働き手としての価値が下がってしまうということですね。

野嶋 美容などのサービス業で働くには、コミュニケーション能力が最も大事。1万時間の専門性を磨く時間と共に、社会人としての基礎力、特にコミュニケーション能力を高めることも大切です。コミュニケーション能力の基礎となるのは「反応力」なんです。

花上 具体的には。

野嶋 たとえば「うなずく」というもの。目を見てうなずくことで、相手に同意を伝えることができます。

花上 無意識に行っていますが、相手に気持ちのよい印象を与える人は皆やっていますね。

野嶋 要なのは、「反応力」を開発できる年齢というのは、10歳代から20歳代中盤がせいぜいだということ。20歳代後半では、もう伸びないんです。

花上 確かに、新卒の採用面接でジャッジする大きなポイントです。

野嶋 反応力が鈍いと、相手に自分がどんなことを考えているかを伝えられません。「なんだか掴めない人だな」などと思われて、情報が自分に集まってこなくなるのです。うなずくことで積極的に肯定を相手に伝えてください。コミュニケーション能力というのは、つまるところ、良い人間関係を作ることなんです。

花上 仕事を円滑に進めるための基礎は10歳代から始まっている、というのは驚きです。

キャリアとは経歴であると同時に
仕事を通じた自分の成長をイメージすること

野嶋 キャリアとはそもそも何でしょう。キャリアとは轍(わだち)、つまり車輪の跡。キャリアのパターンにはいくつかあり、やりたいことを定めて実現を目指し、努力する。ゴールに向けて計画に取り組む「山登り」型と、目の前の課題をこなすことを楽しみ、基礎力を鍛え、偶然の仕事や人との出会いを大切にする「川下り」型があります。

花上 自分はどちらに当てはまるのか、あまり考えたことはなかったです。

野嶋 職業によっても違いますよね。

花上 キャリアは仕事の経歴であり、仕事を通じてどんな自分になりたいかをイメージすることでもあるのですね。

野嶋 仕事を通じて成長すること、成長とは具体的には、行動が変わることです。知識、技術、行動という仕事の三要素がバランス良く高められると、意識が変わります。つまり、知識と技術を高めれば、行動も変わる。行動が変われば、仕事において成長ができるということですね。

花上 とてもよく納得できました。本日はありがとうございました。

 

▼この企画について
美容経済新聞では、サロン経営に携わる方に役立つ情報を常にお届けしています。2018年は、論説委員である野嶋朗氏を迎え、今後の市場の変化にいかに対応していくべきか、ヒントを探って参ります。

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