第1期対談第37回 人手不足の美容業界、考えるべき「人時生産性」とは?

2018.09.1

業界展望

admin

人手不足が深刻で採用活動に苦労している企業・サロンが多い昨今。だが、人手不足でも上手に採用し、伸びている業態があると美容経済新聞論説委員 野嶋朗氏は指摘する。人材不足時代における生き残りについて、美容経済新聞編集長 花上哲太郎がインタビューを行った。

有資格だけど美容室で働いていない
「休眠美容師」が活躍できる場がある?

花上 前回に引き続き、人材の問題を考えていきたいと思います。ヘア業界において、美容師の資格を持っているけれど美容室で働いていない「休眠美容師」を、どのように活用しているのでしょうか?

野嶋 休眠美容師に関しては、ヘアカラー専門店が最も上手に活用していると思います。ヘアカラー専門店というのは、美容室(ヘアサロン)でカラーリングをすると高価だけれど、ホームカラーでは満足できない、という層に人気の業態です。白髪染めニーズのある中年以上の男女に特に人気がありますね。

花上 なるほど。様々な事情があって美容師を中断してしまった方も、カラーリングだけなら、あるいは短時間勤務なら働けるという方はいらっしゃるでしょうね。

野嶋 ヘアカラー専門店が働きやすい理由は、受付スタッフがおらず、自動販売機でお客が自分でメニュー選択・入金するというシステムや、シャンプーはオートシャンプーを導入していることもあります。

花上 面倒なカラーの選定やカラーリングだけプロにやってもらえるというのは、素人にとっては嬉しいですね。

野嶋 “安心・安全”は美容業界ではキーワードになっていると思いますが、この業態はこれからも客足が伸びていくと思います。美容においてもコモディティ化が進んでいるのでしょうね。

人手不足&技術革新時代の
人時生産性を考えよ

花上 エステティックサロンもそうですが、付加価値も価格もサービスも、中途半端なお店は経営がどんどん厳しくなっています。

野嶋 コンセプト作りをしっかりとしないと生き残れないですよね。光脱毛の開発・普及で脱毛が飛躍的に安価になったと同じように、ヘアカラー専門店も技術革新によって実現した業態です。今はネイルマシンもすごく技術が向上していて、いくつかの作業は人の手で行う必要がありますが、マシンが自動的に、しかも早くネイルチェンジしてくれるので、これからネイルマシンを使った業態は人気が出てくると思いますね。

花上 ますます技術者が不要になってくるなかで、ワークシェアリングというか、人がいないことを前提にしたビジネスモデルを作っていかなければいけないのでしょうね。

野嶋 お客を待っている待機時間(手待ち時間)は美容業界の課題です。タクシー運転手は、業務の40%が手待ち時間。美容は17%です。この時間が少ない業態は経営が安定しています。従業員一人の、一時間あたりの粗利益である人時生産性(にんじせいさんせい)を考えなくてはならないということですね。規模がある程度大きい企業やサロンは、人時生産性についてかなり工夫をしています。

花上 美容業界の人手不足は深刻ですが、それを踏まえ、さらに進歩した技術をしっかりと活用した業態に注目したいですね。本日はありがとうございました。

 

▼この企画について
美容経済新聞では、サロン経営に携わる方に役立つ情報を常にお届けしています。2018年は、論説委員である野嶋朗氏を迎え、今後の市場の変化にいかに対応していくべきか、ヒントを探って参ります。

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